スキャナ保存における訂正削除履歴の確保方法

書類をスキャナ保存するためには、訂正削除履歴という要件を満たす必要があります。
この要件を満たしていないと、適正な電子データとして認められないケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

この記事では、スキャナ保存における訂正削除履歴を確保するためのポイントについて解説します。
正しいデータ保存を行うために、ぜひ参考にしてください。

スキャナ保存の訂正削除履歴を確保するためのポイント

スキャナ保存における要件の1つである訂正削除履歴(ヴァージョン管理)を確保するためには、以下6つのポイントをすべて満たす必要があります。

(1)スキャナで読み取った電子データは、必ず初版として保存すること。
(2)第2版以降として保存できるのは、既に保存されている電子データを改変したもののみとすること。
(3)内容を改変できるのは、最も新しいヴァージョンの電子データのみとすること。
(4)物理的な削除ではなく、削除フラグを付与するなどの形式的な方法を採用すること。
(5)すべてのヴァージョンの内容、訂正前の内容を確認できること。
(6)削除されたデータについても検索できること。

満たしていない項目が1つでもあると、訂正削除履歴が確保されていないと見なされるため必ず確認するようにしましょう。

市販のヴァージョン管理ソフトでは要件を満たせない場合がある

市販のヴァージョン管理ソフトを使用しても、絶対に要件を満たしているとは言い切れません。
スキャナ保存におけるヴァージョン管理では、電子データを改変して上書き保存するのではなく、別名保存するようなイメージで、第2版、第3版などとして変更の履歴を残していく必要があります。

しかし、市販のヴァージョン管理ソフトのなかには、上書き保存して変更履歴を残せないものもあるため注意しましょう。

スキャナ保存の訂正削除履歴の確保方法について具体例で解説

ここでは、訂正削除履歴の確保する方法について、具体例を挙げながら解説します。

1.取引先から2つの注文書を受領した場合

たとえば、取引先から注文書1を受領し、数日後に内容が修正された注文書2を新たに受領した場合を考えてみましょう。
この場合、スキャンする元となる書類が2種類存在しているため、それぞれを第1版として保存しなければなりません。

新たに受領した注文書2を第2版として保存するのは間違いですので注意しましょう。

2.保存した電子データを改変する場合

電子データの内容を改変できるのは、最も新しいヴァージョンのみです。
たとえば、第3版が最新である電子データについて、1つ前の第2版の内容を更新することは認められません。

電子データ内容の改変を行う場合は、第3版を更新して、第4版として保存しましょう。
さらに、改変前の全ヴァージョンの内容を確認できるようにする必要があります。

第4版が最新の場合は、第1版〜第3版までの内容も確認できなければなりません。
単純な上書き保存とは異なるため、改変する際は注意が必要です。

スキャナ保存をするなら訂正削除履歴の確保が必要

今回は、スキャナ保存における訂正削除履歴の確保方法について解説しました。

スキャナ保存をする場合は、訂正や削除の履歴を正しく残せるシステムを利用する必要があります。
市販のヴァージョン管理ソフトでは、要件を満たせない可能性もあるため、使用する際は事前確認を忘れないようにしましょう。

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Dencho-ho.info 編集部

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