注文書(発注書)の保存・保管期間はいつまで?2022年以降の電子保存法でどうなる?

注文書(発注書)および注文請書はビジネスを続けていると、たまり続けてファイルや書庫スペースが膨れていきます。
取引の完了した注文書においては、いつまで保管すればよいのでしょうか?

実は注文書は証憑書類に分類され、「取引の証拠となる書類」となり法律で保管期間が決められています。

税務調査時に税務調査員により確認できるように、その保管が義務付けられているのです。

注文書の保管期間

注文書の保管期間は、法人か個人事業のいずれかで保存期間が違います。

法人の場合は注文書の保管期間は原則7年

法人の場合は、法人税法によって原則7年の保管が義務付けられています。

ただし、例外として繰越欠損金が生じた場合は10年となります。要するに決算が赤字だった場合には10年の保存が必要ということです。

個人の場合は注文書の保管期間は原則5年

個人の場合、注文書の保存期間は原則5年間です。

ただし、個人事業者でも消費税の課税事業者であれば、注文書の保管期間は7年間となります。

基本的には前々年度の課税売上高が1000万円以上であれば、消費税の課税事業者となります。
課税売上高が1000万未満でも消費税の課税事業者として税務署に届けを出せば、課税事業者になることはできます。
(消費税の免税をあえて放棄することにはなりますが・・・)

2023年10月からインボイス制度がスタートしますが、インボイス制度とともに課税事業者に変更する個人事業者も増えるかもしれません。課税事業者になるタイミングで5年から7年になることは覚えておいたほうがよいでしょう。

注文書の保存方法

紙または電子データでの保存のいずれかとなりますが、受け取り方で保存方法が変わってきます。

特に注文書においては、収入印紙の添付を回避するため、紙の送付ではなく、FAXやメールで送付することも多いかと思われます。
FAXやメールで注文書を送付する場合、その保存方法の扱いが少しややこしいのでご注意ください。

2021年12月31日までの注文書の保存方法

紙で受け取った注文書(注文請書)においては、必ず紙で保存しなくてはいけません。

FAXで受け取った注文書も、紙での保存が原則です。

既に電子帳簿保存法のスキャナ保存を申請し、承認されているごく一部の企業であれば、スキャンによる電子保存が可能です。
2022年1月1日から適用される改正電子帳簿保存法では電子データ保存の要件が多くの企業でも導入しやすいよう緩和されるので、それまでは紙で保存しましょう。

受発注プラットフォームやECサイト、メール添付のPDFなどは「電子取引」に分類され、これらで授受した注文書は2021年12月31日までは、必ずプリントアウトして保存しなければいけません。
電子データだけを保存することは認められません。

メールの添付ファイル、FAXを受信してPDF化できる複合機の場合も、プリントアウトして保存しなければなりません。

2022年1月1日からの注文書の保存方法

改正電子帳簿保存法が施行されるため、紙で受け取った注文書(または注文請書)においては、紙で保存してもデータで保存してもどちらでもOKです。

データ保存する場合は、電子帳簿保存法のスキャナ保存要件にのっとって運用する必要があります。

受発注プラットフォームやECサイト、メール添付のPDFなど、「電子取引」によって授受した注文書はデータで保存することが必須となります。
よって紙の保存は必要なくなります。

FAXをPDF化する複合機で紙での出力を行わないは電子取引とみなし、電子保存が必須となります。

FAXを受信時に紙で出力している場合は、従来通り紙の保存でも電子保存でもどちらでも選択可能です。

注文書の電子保存を検討するなら

電子帳簿保存法の改正を機に、2022年1月以降に注文書の電子保存を始めるのがおすすめです。

電子帳簿保存法では、日付、取引先、金額が検索できるようにする要件がありますが、検索のために検索用データを登録したり、ファイル名に検索データを含めるようリネームするなどの手法では手間もかかるので、検索用データを自動で登録してくれるAI-OCR製品などを活用すると便利でしょう。

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電帳法情報局 編集部

電子帳簿保存法についての情報を発信していきます。