スキャナ保存に関する適用要件を詳しく紹介
スキャナ保存を行う場合は、さまざまな要件を満たす必要があります。要件を満たしていないと、適正な保存方法として認められない可能性もあるため注意しましょう。この記事では、スキャナ保存に関する適用要件を詳しく紹介します。
電子帳簿保存法のスキャナ保存に関する適用要件
スキャナ保存を行うときは、真実性や可視性を確保するために、書類の重要度ごとに決められた要件を満たさなければなりません。スキャナ保存の対象となる書類は、資金の流れに直結する契約書や領収書などの重要書類と、見積書や注文書などの一般書類に分けられます。以下、適用要件について解説しますので、確認しておきましょう。
1. 入力期間の制限
重要書類については、受領等後、概ね7営業日以内、または業務の処理に係る通常の期間を経過した後、概ね7営業日以内に入力しなければなりません。
2. 一定水準以上の解像度による読み取り
解像度は200dpi以上、色調は256階調以上で読み取る必要があります。ただし、一般書類についてはグレースケースでも問題ありません。
3. タイムスタンプの付与
スキャナ保存する書類には、基本的にタイムスタンプを付与しなければなりません。受領者が読み取る場合は、概ね3営業日以内にタイムスタンプを付与するのが基本です。
4. 解像度・色調・大きさ情報の保存
スキャナ保存する場合は、書類の解像度・色調・大きさ情報を保存しておく必要があります。ただし、一般書類については大きさ情報を保存する必要はありません。
5. バージョン管理
書類を訂正したり削除したりした場合、履歴が残るシステムを利用する必要があります。
6. 入力者等情報の確認
スキャナ保存をする場合は、入力をする人とそれを直接監督する人に関する情報を確認できるようにする必要があります。
7. スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持
スキャンしたデータと帳簿の関連性は、確認できるようにしておかなければなりません。
8. 見読可能装置の備え付け
スキャナ保存を行う場合は、14インチ以上のカラーディスプレイ、カラープリンタ、操作マニュアルを備え付けておく必要があります。また、整然とした形式、元の書類と同程度の明瞭さ、4ポイントの文字を認識できる、といった状態で出力できるようにしましょう。
9. 検索機能の確保
保存したデータは、取引年月日や金額などの条件で検索できる必要があります。
業務の処理に係る通常の期間について
書類をスキャナ保存する方式としては、次の2つがあります。
1) 早期入力方式:概ね7営業日以内に入力する
2) 業務サイクル方式:業務の処理に係る通常の期間を経過した後、概ね7営業日以内に入力する
どちらの方式を選ぶかは、業務内容などに応じて自由に選択可能です。業務サイクル方式における「業務の処理に係る通常の期間」は、最長2ヵ月まで認められます。
ディスプレイやプリンタの性能や設置台数
ディスプレイやプリンタについて、性能や事業の規模に応じた装置台数などの要件はありません。ただし、すぐに出力できることや、税務調査において優先的に使用できるように業務調整を行っておくことなどは求められます。
画面印刷(ハードコピー)による方法の可否
整然とした形式、元の書類と同程度の明瞭さ、といった状態で出力できるのであれば、両面印刷でも問題ありません。税務調査などの際に、チェックしやすい形式にしておくことが重要です。
適用要件を理解したうえでスキャナ保存を行おう!
今回は、スキャナ保存に関する要件について解説しました。入力期間やタイムスタンプの付与といった多くの要件があるため、しっかりと理解したうえでスキャナ保存を行いましょう。