税制改正前後のスキャナ保存に関するポイント
電子帳簿保存法のスキャナ保存については、制度を浸透させるために、何度か改正や要件緩和が行われています。令和3年度においても改正が実施され、さまざまな要件が緩和されました。
そこでこの記事では、税制改正前後のスキャナ保存に関するポイントを解説します。
新しいスキャナ保存要件が適用されるタイミングなどについても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
令和3年度における税制改正後のスキャナ保存要件はいつから適用される?
スキャナ保存制度は平成17年度に創設されて以来、何度か改正されています。令和3年度における改正の大きなポイントは、税務署への事前申請が不要になったことと、一定期間内に入力したことを確認できればタイムスタンプも不要とされたことです。
新しいスキャナ保存要件は令和4年1月1日以降に保存する書類から適用される
電子帳簿保存法のスキャナ保存に関する新しい要件は、令和4年1月1日以降に保存する書類から適用されます。ここでの「保存」とは、具体的にはタイムスタンプ要件を満たした入力までを意味しています。つまり、入力完了日が、スキャナ保存が行われた日となることに注意しましょう。
たとえば、その業務の処理に係る通常の期間を2ヵ月としているケースを考えてみます。このケースにおいては、令和3年11月頃に受け取り、令和4年1月1日以降に入力が完了する書類もあるでしょう。この書類については、「令和4年1月1日以後にスキャナ保存が行われる書類」に該当するため、新しい要件が適用されます。
改正前の要件でスキャナ保存することも可能
令和3年度における税制改正前の要件でスキャナ保存することも可能です。とくに手続きなども必要ありません。法律によって、「承認済国税関係書類については、なお従前の例によること」と定められています。
課税期間の途中からでもスキャナ保存は可能
要件を満たしていれば、課税期間の途中からスキャナ保存を開始しても問題ありません。たとえば、課税期間を令和3年4月1日から令和4年3月31日までとしている企業において、令和4年1月1日以降に保存する書類からスキャナ保存を行うことなども可能です。
さらに、令和3年度の制度改正により、令和4年1月1日以降にスキャナ保存する書類については、事前に税務署長の承認を受ける必要がなくなりました。以前と比較すると大きく要件が緩和されているため、うまく利用するとよいでしょう。
一部の国税関係書類のみをスキャナ保存することも可能
スキャナ保存を始めたからといって、すべての国税関係書類をスキャナ保存する必要はありません。スキャナ保存は書類の種類ごとに適用できるため、一部の国税関係書類のみをスキャナ保存することも認められます。柔軟に対応できるため、うまく利用してペーパーレス化や業務効率化を図るとよいでしょう。
税制改正について理解したうえでスキャナ保存を行おう!
今回は、令和3年度における税制改正に関して、新しいスキャナ保存要件が適用されるタイミングなどについて解説しました。新しいスキャナ保存要件は、令和4年1月1日以降に保存する書類から適用されます。税制改正によって、さまざまな要件が緩和されているため、しっかりと理解したうえでスキャナ保存を行い、業務の効率化や経費の削減を図っていきましょう。